デスクワークやスマホ、家事が続くと、まず最初にがんばってしまうのは「手」です。マウスを強くつまんだり、ペンや包丁をぎゅっと握ったり、スマホを小指で支え続けたり——こうした小さな力みが前腕から肩、首へとじわじわ伝わっていき、気づけば肩こりと頭痛のセットになってしまう方は少なくありません。
多くの方は「肩や首そのものが悪い」と感じやすいのですが、よく見ていくと、スタート地点は“手の使い方が固まっていること”であるケースがとても多いと感じています。ですから、痛み止めやマッサージの前に、まずは手→前腕→肩の順に、力みの連鎖を断っていくことが、遠回りに見えて近道になることがあります。
まず見直したいのは、親指と人差し指だけで物を「つまむ」クセです。親指に力を入れて強く押さえ込むような持ち方が続くと、その力みは手のひらから前腕の筋肉へ、さらに肘や肩へと上がっていきます。
そこで、ペンやマウス、コップ、フライパンの取っ手などを持つときには、親指の押さえ込みを「1割ゆるめる」つもりで、小指・薬指側にもそっと仕事を分けてあげます。マウスや取っ手は、指先でつまむのではなく、掌に「面で当てる」ようにしておくと、特定の指だけが疲れにくくなります。
キーボード操作も同じです。手首を大きく反らせてキーを「底まで押し切る」ように叩いていると、手の甲側の筋肉が常に張りっぱなしになります。キーは意識して底まで叩き込まず、「途中まで触れていれば入力できる」くらいの軽さで済ませるだけでも、手首から肩への負担は変わってきます。
次のポイントは、手首や前腕を「回し過ぎない」ことです。例えば、マグカップを持つときに、手のひらを必要以上にひねっていたり、ドライバーや菜箸を使うときに、前腕をぐるぐる回していないでしょうか。
手のひらを床に向ける動き(回内)や、天井に向ける動き(回外)は、どちらも必要な動きですが、強くやり過ぎると前腕の筋肉が常にねじられたままになります。そこで、回す量は「本当に必要な分だけ」にとどめ、残りは後述する「肘の位置」や「体の向き」で調整するイメージを持つと、前腕の張りが和らぎやすくなります。
また、手首はできるだけ反らしっぱなしにせず、中間のフラットな位置を保つことが大切です。重い物を扱うときも、肘を伸ばしきった遠い位置でひねるのではなく、先に肘を体側へ寄せてから、手だけで細かく調整するようにすると、前腕だけが過労になりにくくなります。
手と前腕の力みが少し落ち着いてきたら、最後に「どこで重さを受けるか」を肩側で調整します。肘がいつも体から離れていて、腕だけで作業をしていると、肩まわりの筋肉が上から引っ張られ続け、首のつけ根までぎゅっと詰まりやすくなります。
そこで、肘は軽く曲げたまま体側に近づけ、「脇から少し後ろの、わき〜背中のあたり」で重さを受けるイメージを持ってみてください。その際、胸をぐっと張り直すのではなく、口をすぼめて静かに息を吐き、肋骨がほんの少し下がる位置で止めてあげると、肩が勝手にすくみ上がるクセが出にくくなります。
視線も大事なポイントです。画面に顔を近づけてあごを前に突き出したまま作業していると、せっかく整えた手と肩の使い方も崩れやすくなります。ときどき視線を正面ラインに戻し、「首を前に置きっぱなしにしていないか」を確かめるだけでも、肩こり頭痛の予防になります。
反対に、できれば避けたいのは、「親指だけで強くつまむ」「手首を大きく反らしたまま固定する」「肘を伸ばし切って、遠くで操作する」といったパターンです。これらはどれも、手と前腕に負担を集中させ、結果的に肩と首を固めてしまう原因になりやすいと感じています。
とはいえ、いきなり完璧に全部をやめる必要はありません。例えば、「親指で強く押さえていることに気づいたら、1割だけ力を抜いて、小指側にも仕事を回す」「遠くで作業していることに気づいたら、一旦肘を体側に寄せる」「胸を張って首だけで向きを作っていると感じたら、一呼吸吐いて、肋骨を少し下げる」——そんな小さな置き換えからスタートするだけでも、首や頭にたどり着く力みの量は変わってきます。
いまの使い方をざっくり確認するために、次の3つを試してみてください。全部で30秒ほどで終わります。
どれか一つでも「さっきより少しラクかも」と感じられたなら、その動きはあなたの体にとって「戻りやすい方向」になっている可能性があります。そこを基準にして、日常の動き全体を少しずつ寄せていくイメージです。
日常の中で続けやすいように、代表的な3シーンでの「ミニルーティン」をまとめておきます。思い出したときだけでも十分です。
Q. 肩や首をマッサージしてもらうだけではダメですか?
A.
一時的に軽くなることは多いのですが、手→前腕→肩の力み連鎖がそのままだと、どうしても元の状態に戻りやすくなります。ほぐすこと自体は悪いことではありませんが、同時に持ち方・肘の位置・呼吸の仕方を整えておくと、効果が長持ちしやすいと感じています。
Q. どんな頭痛でも対象になりますか?
A.
ここでお話ししているのは、いわゆる筋緊張型の頭痛(肩こり由来のもの)を主な対象としています。急に強く出る頭痛・今まで経験したことのない激しい頭痛・しびれや脱力を伴うもの・発熱や視力異常を伴うもの・ケガや事故の直後などは、まず医療機関での評価を優先してください。
めがね先生の整体院では、肩こり頭痛を「首だけの問題」とは捉えず、まず短時間のソフトな調整で、手・前腕・肘・肩・首・肋骨まわりのこわばり(過緊張)をゆるめるところから始めます。そのうえで、握り配分や手首の角度、肘の位置、わき〜広背筋の使い方、呼吸と肋骨の動き、視線の置き方などを、実際のデスクワークや家事をイメージしながら一緒に確認していきます。
いわゆる「その場しのぎのもみほぐし」ではなく、時間をかけて“手まかせ→全身で受ける”使い方に上書きしていくことを大切にしています。ご自宅や職場で実践しやすいホームワークも、必要に応じてお渡しします。
肩こりからくる頭痛は、首だけを揉んだり薬だけに頼るよりも、“手→前腕→肩”の力みの連鎖を途中で断つほうが、長い目で見ると近道になることが多いと感じています。つまむ握りをやめて面で持つこと、手首をフラットに保つこと、肘を体側へ寄せて吐きながら肋骨を少し下げること——この3つをそっと足していくだけでも、首や頭に届く負担の量は変わってきます。
一人では加減が分かりにくい方や、長年肩こり頭痛に悩まされている方は、短時間のソフト調整+脱力×連動のトレーニングで、体の使い方そのものを一緒に整えていきましょう。当院をご利用ください。
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