小さなお子さんをお持ちの方から、よくこんな声をうかがいます。
「長く抱っこしていると、腰がジンジンしてくる。」
「腕もパンパンだし、立っているだけでしんどい。」
抱っこは大事なスキンシップですが、
そのときの「体の使い方」次第で、腰への負担は大きくも小さくもなります。
私は、抱っこで腰がつらくなる大きな理由のひとつは、
腕と上半身だけで支えようとしてしまうことだと感じています。
抱っこのとき、無意識に次のようなクセが重なっている方が多いです。
こうなると、重さがうまく分散されず、
腕・首肩・腰の一部に負担が集中しやすくなります。
特に産後は、睡眠不足やホルモンの影響もあり、
少しの負担が痛みとして出やすい時期でもあります。
むずかしいトレーニングより、まずは順番を変えてみるのがおすすめです。
抱き上げる前に、いったん足を肩幅くらいに開き、
足指をぎゅっと握らずに母指球・小指球・かかとの三点で床を感じます。
そこで口をすぼめて、3〜5秒かけて吐くイメージで息を吐きます。
みぞおちが前に飛び出さないように、
「肋骨がほんの少し下がるかな?」と手で確認できるとベストです。
吐ききったところで、下腹の奥にうすい支えが起きる感じがあれば十分です。
このひと呼吸だけでも、腰を反らせて支えるクセが少し落ち着きます。
抱き上げるときは、腕の力で赤ちゃんをこちらに引っ張るのではなく、
自分の体のほうを赤ちゃんに近づける意識を持ってみてください。
股関節から軽く前に折るようにして(腰ではなく股関節から)、
体ごと近づいてから、胸の前あたりに抱き寄せます。
このとき、脇を軽く締めて、わき〜背中(広背筋)にも重さを分けるイメージを持つと、
腕だけでなく、体幹や背中・お尻も一緒に支えに参加しやすくなります。
抱っこしたまま立っているとき、
ずっと前ももと腰で支え続けていると、どうしてもつらくなります。
そこで、ほんの少しだけお尻側に体重を預けるようにしてみてください。
胸を張り直さず、さきほどの「肋骨を少し下げた位置」を保ちながら、
かかと方向に重心を一呼吸ぶんだけ移してみるイメージです。
これだけでも、腰の一点で受けていた重さが、お尻や体幹側へ分散され、
少しラクに感じる方が多いです。
抱っこは一日に何度も出てくる動きなので、
といった形で、小さな工夫をこまめに挟むだけでも違いが出てきます。
完璧を目指す必要はありません。
「全部腕と腰で受けていたのを、少しだけ全身で受ける方向に寄せる」くらいの気持ちで十分です。
ここまで読んで、「なんとなくイメージはわいたけれど、
実際にはどう動けばいいのかよくわからない」という方も多いと思います。
めがね先生の整体院では、
まず短時間のソフトな調整で首肩・背中・腰・肋骨まわりのこわばりをやわらげ、
お尻や体幹が支えとして参加しやすい土台をつくってから、
などを、実際の抱っこの動きの中で一緒に確認していきます。
抱っこそのものを減らすのではなく、
「どう支えるか」を変えて、腰への不安をできるだけ減らしていくイメージです。
産前産後の体調や、腰・骨盤まわりについての考え方は、
妊婦さん整体や
産後骨盤矯正のページでもお話ししています。
「抱っこがつらくて、この先が不安」という方は、どうぞ一度ご相談ください。