肩こりは肩そのものよりも、実は“手の使い方”で肩の力み方が決まることが多いです。
握り方・親指のはさみ込み・手首の反り癖(背屈)などが入口になって、前腕→上腕→肩甲帯へと力みが連鎖します。
この記事では、肩こりを悪化させやすい典型パターンと、30秒セルフチェック、直し方のコツを紹介します。
肩がこる“手の力み” 代表パターン
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親指ではさみ込む握り(母指強すぎ)→
長母指屈筋・前腕屈筋群が過活動 → 肩がすくむ
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手首の反り癖(背屈固定) →
伸筋の張りで肘が外に逃げ、僧帽筋上部に力みが集中
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“指先だけ仕事”で手のひらが働かない →
前腕で頑張る → 肩甲骨が前に滑る
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小指側だけ・親指側だけの偏った握り →
前腕の回内/回外(手のひらの内外ひねり)が固定 →
肩の内外旋が硬くなる
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マウスつまみ持ち+クリック強押し →
肩甲骨が上方回旋のまま固まりやすい
30秒セルフチェック(その場で判定)
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片手で軽くペットボトルを持つ。親指の力を6→3まで落としても落とさないで持てる?
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横から見て、手の甲~前腕が一直線(手首が反っていない)かを確認。
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肩を上げずに、肘を少し外に開く⇄閉じるを繰り返す。肩の筋張りが増えない?
どこかでつまづくなら、手が入口の力み連鎖が疑われます。
直し方のコツ(“手→肩”の連鎖を逆流させる)
① 握りの再学習:親指のはさみ込みをやめる
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ペンやペットボトルを指腹+手のひらで包む(親指は“添える”だけ)
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小指の付け根〜手のひら中央を使うと、肩がすくみにくい
② 手首の中間位:反り固定をほどく
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手首を反らず・曲げずの中間に置く(キーボードは手前の脚を立てずフラットに)
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マウスは掌で包むグリップに変更、クリック圧はごく軽く
③ 前腕のねじれを解く:内外どちらの固定にも対応
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小指側に寄った握りなら → 軽く前腕を回内(手のひらをやや内・下向きに)
→ 肩甲骨が下がる感覚を確認
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親指のはさみ込みが強い握りなら →
軽く前腕を回外(手のひらをやや外・上向きに) →
胸を張らずに肩が下がるか確認
④ “肩を上げる前”の予備動作
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手のひら全体で対象に触れてから上げる(指先だけでつままない)
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肘を先にゆるめる→
その後で肩を上げると、僧帽筋上部の過活動を抑えられる
当院の進め方(肩こり×手の使い方)
- ヒアリング(作業内容・マウス/スマホ時間・利き手・既往)
- 使い方検査(握り・手首角度・前腕回旋・肩甲帯の連動)
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短時間の調整(過緊張のリセット)+その場で動作の上書き
- 道具別の微調整(マウス/キーボード/スマホの持ち方を実際に)
- 30秒セルフチェックの基準を共有(戻りの自己判定)
よくある質問
Q. 肩をマッサージすれば良くなりますか?
A. マッサージで一時的に軽く感じることはありますが、
手→前腕→肩の使い方(力みの連鎖)は変わりません。
根本を変えるには入口(手)からの動作の上書きが必要です。
Q. 握力が弱いのですが、軽く持つと不安です。
A.
親指で挟む“強いつまみ”ではなく、指腹+手のひらで面を作ると小さな力でも安定します。
Q. デスク環境は何を変えれば?
A.
手首は中間位、肘は少しゆとり、マウスは掌で包む形へ。キーボードは手前を上げない(反り癖を助長しない)。
Q. 受診の目安は?
A.
夜間痛・発熱・広がるしびれ・脱力感などは医療の評価が先です。
まとめ
肩こりは肩だけを揉んでも使い方は変わりません。
まず“手の使い方”を整え、手→前腕→肩の動作を上書きしてから肩を動かすことで、
日常でも変化を保ちやすくなります。
当院では、検査→短時間の調整→その場の上書き→道具別の微調整まで一連で行い、日常で再現できる形に落とし込みます。
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