産後の方とお話ししていると、よくこんな声をうかがいます。
「出産してから、骨盤が広がった気がするんです。」
「前に履いていたズボンが、ウエストは入るのに腰まわりだけきつい。」
その「感覚」自体は、とてもよくわかります。
妊娠・出産を経て体型や筋肉の働き方が変わるのは、ごく自然なことです。
ただ、ここでひとつお伝えしておきたいのは、
骨そのものを外から押して、形を変えることはできないということです。
では、なぜ「広がったように見える」のか。
今日は、現場で感じてきたことと、当院の考え方を、できるだけわかりやすくお伝えしてみます。
私はこれまで、整形外科でレントゲンやMRI画像をたくさん見てきました。
変形性膝関節症や股関節の変形、背骨のゆがみなど、「骨の形」が変わってしまったケースも少なくありません。
そうした変形は、長年の負担や生まれつきの構造、手術などによって起こるものであって、
「数回のマッサージや骨盤矯正で、骨そのものがキュッと小さくなる」ものではありません。
ですので、当院では、 「骨を押して元に戻します」という説明はしません。
その代わりに、「見え方」と「使い方」に注目しています。
「広がってしまった骨盤をどうにかする」よりも、
「広がって見える使い方をやめる」ほうが、現実的で効果的です。
産後に「骨盤が広がった気がする」方を観察してみると、多くの場合、 股関節まわりの筋バランスや立ち方・歩き方のクセが関わっています。
例えば、こんなパターンがよくあります。
こういった使い方が続くと、太ももの付け根の外側(大転子)が横に張り出して見えやすくなり、「骨盤が広がった」ように感じるのです。
つまり、多くの方の「広がり」の正体は、
実際に骨がパカッと開いてしまったというより、
「広がって見える使い方」による見た目の変化だと考えています。
ここで、ちょっとだけ「よくある誤解」に触れておきます。
世の中には、「骨盤をギュッと締める」「長時間マッサージして整える」といったメニューもたくさんありますが、
その場のスッキリ感と、見た目や使い方の変化は別物です。
一時的にむくみが取れたり、筋肉がゆるんで楽に感じることはあると思います。
ですが、元々の立ち方・歩き方が同じなら、時間とともに見た目も戻ってきてしまうことが多いです。
当院では、いわゆる 「長時間の全身マッサージ」や「強くひねる骨盤矯正」は行っていません。
その代わりに、短時間のソフトな調整で土台づくりをしてから、「使い方」を一緒に上書きすることに時間を使います。
めがね先生の整体院では、産後の骨盤まわりについて、
この2つをセットで進めていきます。
最初に、立ち方・歩き方・しゃがみ方などを一緒に確認します。
特に、
といった点を、丁寧に見ていきます。
いきなりトレーニングをするのではなく、
まずは短時間のソフトな整体で、関節まわりのこわばりや過剰な力みをやさしく整えます。
グイグイ押したり、ボキボキ鳴らしたりはしません。
「お尻と体幹が働きやすい位置」を作る下準備をするイメージです。
調整のあとは、日常に近い動きの中で、使い方を一緒に上書きしていきます。
こうした動きを通して、
「外ももと前ももだけで頑張る使い方」から「お尻と体幹も一緒に支える使い方」へ、少しずつ上書きしていきます。
「もう産後〇年たっているし、今さら変わらないですよね?」
そんなふうにおっしゃる方も多いです。
たしかに、出産直後に比べると、体の変化はゆっくりになります。
それでも、体の使い方は何歳からでも上書き可能です。
「産後ケア」という言葉にとらわれすぎず、
「これから先の何十年、足腰をどう守るか」という視点で見てもらえると良いかなと思っています。
もし今、こんな不安やお悩みがあるなら、
それは、「まだ大丈夫なうちに使い方を見直すチャンス」でもあります。
大きなことをする必要はありません。
まずは一度、今の立ち方・歩き方・骨盤まわりの使い方がどうなっているのかを一緒に確認してみましょう。
そのうえで、あなたの体に合った「力を入れすぎない支え方」を、少しずつ身につけていくお手伝いをします。
産後の骨盤まわりについて、より専門的な仕組みや当院での具体的な進め方は、
こちらの「産後ケア(骨盤)」のページにもまとめています。よろしければ、あわせてご覧ください。
「見た目も動きも、できるだけ将来に残したくない不安を減らしたい。」
そう感じる方は、ぜひ一度、当院の整体を体験してみてください。