産後に「骨盤が広がった気がする」「ズボンが合わない」という声をよくいただきます。
ただし、骨そのものを手で押して形を変えることはできません。多くのケースでは、股関節の使い方や筋バランスの変化により大転子(太ももの付け根の外側)が目立つ見え方が起きているだけです。
本記事では、見え方の仕組みと、戻し方=使い方と筋の働きの整え方を解説します。
「骨盤矯正」と称して強く押したりひねったりしても、骨の形そのものは変わりません。 一時的に楽に感じたり、輪郭が違って見えることはありますが、使い方が同じなら見た目も動きも根本は変わりません。
大切なのは、動作の上書きで殿筋と体幹が働く使い方に覚え直すことです。
産後はホルモンの影響で結合組織が一時的に緩みますが、時間経過で回復します。
それでも見た目が戻らないのは、次のような使い方の偏りが残っているときです。
つまり、“骨盤が広がる”というより“広がって見える使い方”が残っている、というのが実態です。
大転子の出っ張り・骨盤の傾き・膝の向きを確認。足裏の荷重や股関節のはまり感(詰まり・引っかかり)も見ます。
触れる量は最小限。必要箇所の緊張を整えて、殿筋と体幹が働きやすい地ならしをします。
ポイントは、施術直後に動作を練習して“定着の種”を持ち帰ること。これが見た目と動きの両方を変えます。
Q. 骨そのものは広がったままですか?
A.
出産直後の一時的な緩みはありますが、時間とともに回復します。見え方の多くは使い方と筋の働きが原因です。
Q. 強い骨盤矯正は必要ですか?
A.
原則おすすめしません。短時間の調整+使い方の上書きのほうが、見た目と動きの両方が安定します。
Q. 自宅では何をすればいい?
A.
立位での足裏分配・肋骨を落とす呼気・骨盤から脚を引く意識の3点。
Q. 病院受診が必要なサインは?
A.
強い痛み・夜間痛・発熱・麻痺やしびれの進行・産後の異常出血などは医療の評価が先です。
“骨盤が広がる”と感じる見た目の多くは、使い方と筋の働きの偏りによるもの。骨を押して形を変えるのではなく、殿筋と体幹の協調を取り戻す上書きが近道です。
当院では、検査→短時間の調整→その場の上書き→自宅で再現までを一連で行い、戻りにくい見た目と動きを目指します。