病院や整骨院で、「もう年齢のせいだから仕方ないですね」と 一言で片づけられてしまったことはありませんか。
レントゲンやMRIで「変形がありますね」「軟骨がすり減っています」と説明を受けると、 それだけで「もう良くならないんだ」「我慢するしかないのかな」と、 心にフタをしてしまいたくなることもあると思います。
たしかに、骨の形そのものや、すでに高度に変形してしまった部分は、 整体で魔法のように作り変えることはできません。そこは、正直にお伝えしたいところです。
それでも、「だから何もできない」わけではありません。
同じ骨の状態でも、姿勢・呼吸・重心のかけ方・体の連動といった
「使い方」を整えることで、負担のかかり方は大きく変わります。
その結果として、痛みの出方や疲れ方が変わり、
「年齢のせい」と言われた症状でも、できることの幅はまだ残っていることが少なくありません。
まず、冷静に整理しておきたいのは、変えにくい部分と まだ変えられる部分がある、ということです。
たとえば、すでに大きく変形してしまった骨の形や、 手術の検討が必要なレベルの構造の変化そのものは、 整体で直接どうにかできる領域ではありません。これは「変えにくい部分」です。
一方で、年齢に関係なく変えられるのが、 力みのクセ・荷重の偏り・呼吸の浅さ・関節の“受け方”・動作パターン といった「使い方」の部分です。
同じ膝・同じ腰の状態でも、どう使っているか次第で、 「痛みが出やすい体」にも「なるべく長く付き合える体」にも変わっていきます。 めがね先生の整体院で大切にしているのは、まさにこの「使い方」の部分です。
「年だから足腰が弱ってきて…」という言葉の裏には、 実は長年の使い方のクセが隠れていることがよくあります。 いくつか、よく出会うパターンをご紹介します。
① 前もも・ふくらはぎばかり頑張る立ち方
立っているつもりが、足指をギュッと握りしめていたり、母趾球だけに体重をかけていたり。
こうなると、前ももやふくらはぎばかりが頑張らされ、
「立っているだけで疲れる」「すぐ脚がパンパンになる」といった悩みにつながります。
本来は、踵・母趾球・小趾球の三点にそっと体重を分けてあげることで、
足全体で体を支えることができます。
② 「胸を張る」ことで頑張りすぎている呼吸
姿勢を良くしようとして、いつも胸を張り続けていませんか。
いちど胸をグッと前に出すと、肋骨が前に開き、
腰を反らせて無理に姿勢を保つクセがつきやすくなります。
本来は、息をゆっくり吐きながら肋骨を少し下げることで、
自然な腹圧が入り、体幹が静かに支えを作ってくれます。
③ 腰から曲げる前かがみ
台所や洗面所で前かがみになるとき、
つい腰からグイッと折ってしまうことはないでしょうか。
そのたびに、腰だけに集中的なストレスがかかります。
ここを、股関節から「お腹と太ももを近づける」つもりで折るようにすると、
負担が腰からお尻や太ももへと分散していきます。
どれも「年齢だから」ではなく、長年の使い方の積み重ねで 生まれているケースが少なくありません。
「今から全部変えなきゃ」と気負う必要はありません。 ここでは、その場で30秒ほどでできるリセットを3つご紹介します。 体調に不安がある場合や痛みが強い場合は、無理をせず医師の指示を優先してください。
まずは呼吸から。鼻から軽く息を吸い、 口をすぼめて「フー」と細く長く吐いていきます。 吐く息と一緒に、肋骨が少しだけストンと下がる感覚があれば十分です。
次に立ち方です。足の裏に意識を向けながら、 まず踵をそっと床に置き、次に母趾球、最後に小趾球をそっと添えるようにしてみます。 ギュッと押しつけるのではなく、「預ける」くらいのつもりで大丈夫です。 膝頭は、第2〜3趾の方向へ向けておきましょう。
そして前かがみ。胸を張らず、 ほんの少しお尻を後ろに引きながら、股関節から体をたたむイメージで 上体を倒してみてください。腰だけを反らせたり、丸めたりしないことがポイントです。
これだけでも、「いつものクセ」とは違う体の使い方を、 体が少しずつ思い出していきます。
痛みがあると、どうしても痛いところだけを 強く揉んだり伸ばしたりしたくなります。 ですが、構造に負担がかかっているときほど、 局所をいじめるような刺激は、かえって症状を長引かせることがあります。
めがね先生の整体院では、
「呼気 → 腹圧 → 立ち方・前かがみの見直し」という順番で、 全体の負担を分散させていくことを大切にしています。
「胸を張って姿勢を保つ」のではなく、肋骨を下げる呼吸で
体幹を「使える状態」にしてから動く。
一日中コルセットやベルトに頼るのではなく、
必要な場面だけ上手に補助として使いながら、
少しずつ自分の体で支えられる時間を増やしていく。
「今までの頑張り方」を責めるのではなく、 より体にやさしい頑張り方に、静かに置き換えていくイメージです。
中には、整体よりも先に医療機関での評価を優先すべきケースもあります。 たとえば、次のようなサインがあるときです。
こうした場合は、自己判断で我慢せず、まず医療機関での診察をご検討ください。 当院にお越しの際も、必要に応じて受診の目安についてお伝えしています。
めがね先生の整体院では、長時間のマッサージでその場しのぎをするのではなく、 「使い方」を整えるための短時間の調整と、実際の動きの練習を組み合わせています。
まずは、姿勢・呼吸・重心の位置・体の連動を一緒に確認しながら、 痛みと関係の深い動作を見つけていきます。 そのうえで、からだ全体のこわばりをやわらげるソフトな調整を行い、 動作の練習がしやすい土台を整えます。
仕上げに、「息を吐く → お腹まわりが静かに支える → 足の三点支持 →
股関節でたたむ」
という流れを、日常の動きの中(立ち上がり・前かがみ・歩行など)で
何度か一緒に練習していきます。
これは、単なる体操ではなく、「体の使い方の上書き」にあたる部分です。
Q.
加齢で関節はすり減るのに、本当に良くなったりするのでしょうか?
A.
年齢とともに起きる構造の変化そのものを、元どおりにすることはできません。
それでも、負担のかけ方を変えることで、
「同じ関節と、どう付き合っていくか」は変えていくことができます。
痛みが出やすい動きを、できるだけ体にやさしい「安全な型」に置き換えるだけで、
「こんなに違うのか」と感じられる方も少なくありません。
Q. どれくらいで変化を感じる方が多いですか?
A. 個人差はありますが、多くの方が、施術直後に
「この動き方だと楽なんだ」という感覚を得られるように
施術と練習の流れを組み立てています。
私たちはこれを、正しい体の使い方をその場で身につけ直す「体の使い方の上書き」 と呼んでいます。さらに、ご自宅でも同じ手順を再現できるようにしていく取り組みを、 「正しい体の使い方の再現」と考えています。
せっかく身につけた使い方が抜けてしまわないよう、
状態に応じて1〜3週おきのフォローをご提案することがありますが、
回数の押し売りはいたしません。
最終的には、意識しなくても同じ使い方ができる「自動化」を目標に、
お一人おひとりのペースで進めていきます。
関連: 骨の変形、手遅れになる前に/ 肩こり/ 運動連鎖をしっていますか?痛みを繰り返さない体づくりのカギ
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。強い痛みや不安がある場合、医療機関の受診をご検討ください。