肩や膝などが痛くなると「まずは整形外科にいく」のが一般的でしょう。
整形外科ではレントゲン写真をとり、問題がなければ湿布を処方して「痛みが続いたらまた来てください、電気治療を受けに来てください」という流れになりがちです。
軽い症状であればそれだけでもいいとは思いますが、根本治療を考えるならば肝心のその痛みの原因追及と、除去対策が足りてないと感じます。
整形外科勤務時代にこんなことがありました。
そこでは一般的な「硬くなっている部分を揉んでストレッチする」だけの治療をしており、患者さんにはその日は「楽になった」と感じて頂けるのですが、同じ症状でまた来院されます。
これでは根本的な治療にはなっていないなあ、でもどうしたらいいのだろう?と、考える日々でした。
そんなときに突破口がひらけたのが、ある患者さんとの出会いでした。
その患者さんは、サッカーを楽しむ中学生の男の子で、膝に痛みの症状がありました。
院長先生の施術オーダーは「レントゲンで問題なし、湿布をし練習を休んでいるのに全く良くならない、なんとか思い切りサッカーができるようにしてあげて」という、今までにない漠然としたものでした。
根本の原因を考えてみろと託されたことに、俄然やる気がでました。
私は治療に入る前に「なぜこの子は膝が痛いのか」を徹底的に考えはじめました。
いつものルーティーン治療を抜け出した瞬間です。
レントゲンに問題ないのなら怪我ではない。問題はないのに痛みがある原因は何か、それは日常動作の問題だろうと結論づけました。
その日からの施術は、体幹の強化、体の使い方・日常生活動作の改善に重点を置いたものにしました。
トレーニングメニューは指導するだけでなく私も一緒にメニューを行い「私に負けるようならまだまだだよ!」とゲーム感覚で楽しませ、モチベーションを落とさないよう工夫しました。
その結果、彼の膝の痛みは無事なくなりました。
「サッカー部に復帰してレギュラーになれた」と報告を受けたときは泣きそうなほど嬉しかったです。
そうやって一人ひとりに向き合い「考える施術」をしていくうち、私の担当患者さんはどんどん増えていきました。
彼をきっかけに学生の患者さんが増えたときには、長年働いている看護助手の方に「あなたが来てから、院内が学校みたいに賑やかになった」と言っていただき、誇らしく思いました。
根本的な改善を求めるため、日常生活の改善や体の基礎力を上げるというのはどんな症状、どんな年代の方にとっても重要なことです。
大事なのは「良くなりたい」という本人の気持ちの強さと、その思いを術者がしっかりと汲み取って確かな技術を提供できるかに尽きると思います。